2019年4/19(金)〜4/21(日)
ウイングフィールド
【キャスト】
石田麻菜美/武田真悠/橋本達矢/松原佑次/三村優里花/ルーデルマン大地(以上劇団員)
中村ユリ(魚クラブ)/古川智子(劇団大阪新撰組)/本多信男(カラ/フル・劇団大阪新撰組)
【スタッフ】
舞台監督:西野真梨子 舞台美術:佐野泰広(CQ) 照明:牟田耕一郎(ママコア)
音響プラン:浅葉修(Chicks) 音響オペ:道野友希菜 舞台映像:武信貴行(観劇三昧/SP水曜劇場)衣装:三村優里花 宣伝美術:松原佑次
河合沙容子 制作:(同)尾崎商店
舞台写真:小嶋謙介 演出助手:白水恵(cx.f
session)
お話
その頭の良い女性はそろばんをはじいていた。「願いましては」と繰り返し、せめて人並みの生活を手に入れたいと願い続けていた。しかし、家計の苦しさから進学を断念した。同級生たちと離れ離れになり、「もしも進学していれば」と、明るいはずだった未来への妄想はさらに明るく膨らんでいった。それは次第に、僻み、妬み、嫉みに変わり、世に対する怒りへと姿を変える。TVのトレンディドラマでは、赤いスポーツカーを乗り回すカッコいい女性の姿、本当ならば自分が乗っているはずだった。どこで歯車が狂ったのか。
時はことなり、おせきという女性がいた。おせきは影を踏まれると寿命が縮むという迷信から、自身の影を映し出す明かりを恐れ、暗い部屋に閉じこもるようになった。次第に、外出すると殺されてしまうという確信へと姿を変える。外に出ると私の影は化け物へと姿を変え、きっと私を殺してしまうだろう。しかし、このままでは、私は部屋の暗がりの中で生を終えてしまう。さて、どうしたものか。
女性は多額の借金を背負い、赤いスポーツカーを購入する。これさえあれば幸せなハズだ。
おせきは、自分に言い寄る男とともに部屋をでて外を見る事を決意する。暗がりの中で死ぬのも、自分の影に殺されるのも同じである。もしかすると大丈夫かもしれない。
女性はスポーツカーで道行く女子高生に声をかける。誘拐殺人を思いついたのである。
おせきの影はやはり化け物の姿になる。
女性とおせきはお互いの影であり、自分自身である。自分の取った選択は、やはり間違いであった。でも、こうするしかなかったし、行動したことは後悔ばかりではない。自分だけはそう思わなければいけないと自分に言い聞かせた。